抗がん剤の副作用(1)

2016/07/05 | trackback [ 0 ] | comment [ 0 ] | 抗がん剤の副作用


唐突ですが、梅雨ですね。(ほんと唐突)
気温も湿度も高いこの時期になると、抗がん剤の副作用のうち、ある意味いちばん厄介だったことを思いだします。



抗がん剤治療は、1回目の手術をした後にTC療法(パクリタキセル&カルボプラチン)をまずは6クール、2回目の手術の後に追加で3クール、計9クールやりました。
抗がん剤治療を始めるにあたり、薬剤師の方が副作用についていろいろ話してくれましたが、つまるところ、「抗がん剤の副作用は個人差が激しいからやってみなけりゃわからない」わけで。
「どうなるんだろう…」と不安がって暮らすのは精神衛生上よくないし、自分で自分が鬱陶しくなるので、ざっくりと、「副作用は全部出る!」くらいの心づもりでいることにしました。

脱毛、血管炎(血管痛)、関節炎、皮膚のピリピリ感、吐き気、味覚障害、便秘。
実際に強く出たのはこのあたりなんですが、その大半は薬剤師の方に説明を受けていたことなので、「キター!」「結構キツイわー」「キモチワリー」「食欲でねー」「う○こも出ねー」と思いながらも、吐き気が酷いときに寝て過ごせばなんとか乗り切れてました。

最初に入院してから約1ヶ月は仕事を休みましたが、その後はずっと、抗がん剤治療の前日から1週間くらい休んで仕事に復帰する、というサイクルで動けていました。
ところが、4クール目の治療を終えたあとのこと。
吐き気もおさまり食事が摂れるようになり、「さあ仕事に行くぞ」と考えると、吐き気が復活するようになってしまったのです。

吐き気の理由は、ニオイです。

まず、自分自身の臭いにもやたら敏感になってました。特に頭。
でも自分の臭いはせっせと洗ったり拭いたりすれば防げます。
問題は会社でした。
私が勤めている会社は働いてる人の8割強が男性なんですが、それまでは、「気にはなるけど我慢できる」レベルだった他人のニオイが、抗がん剤治療を始めてから、「軽い殺意を覚えるレベル」に感じるようになりました。
仕事に行くことを考えるとそのニオイが蘇ってきて、いつでも吐ける状態に戻ってしまうのです。


北斗晶さん(応援してます!)も抗がん剤治療中にブログでそのことを書いていらして、抗がん剤経験者の友達に、「臭く感じちゃうのは自分(北斗さん)の自律神経が乱れてるから」と言われて納得したと仰っていました。

それが本当だとしたら!私はいまだに自律神経が乱れてます!乱れまくりです!
吐くことはなくなったけど、いまでも、会社や街で加齢臭やその他の体臭、不潔臭、生乾きの臭いを嗅ぐと、胸ぐらを掴んで1km先まで投げ飛ばしたくなります!

「嫌なニオイ」だけじゃなく「いい香り」でも、特定のハンドソープや香りつきのトイレットペーパー、特定の香水など、ダメなものがたくさんありましたが、「本当はいい匂い」だとわかってるので、吐き気はしても腹は立ちません。

だけど!
体臭や加齢臭や不潔臭や生乾きの臭いは別!
健康でも不健康でも臭いモンは臭いんじゃ!


と心の中で悪態をつきながら、吐き気を堪えて会社に行っては、


「いいですか?
こういう臭いが「悪臭」だって認知されてるから、数々の対策グッズが出てるわけです。
みんなね、悪臭を放ってる人になりたくないから、たいして汚れてもいなさそうなのに毎日風呂に入って、頭の先から足の先まで泡だらけにして洗ってるんです!

あのね。
男だからじゃないの。
女だってあたしぐらいのババアになるとね、丸1日風呂に入らないだけでうっすらオッサンの臭いがしてきますよ。
しかもあたしデブだからね、3日も風呂に入らなきゃ、自分の身体のどこかから、「あれ?野良犬?」みたいな臭いがしてくるんですよ!
そうなったら、デブだもの、脂ギッシュだもの、シャンプーしても泡立ちませんよ!
2回も3回も洗わないと泡立ちませんよ!
だから!毎日風呂に入るし、毎日下着も服も取り替えるし、洗濯したりクリーニングに出したりするんです!

いいか?はっきり言うぞ?
お前の臭いはただの体臭じゃないんだ。
お前の体臭が凝縮された、「悪臭」だ!
自分だけが臭ってると思うな!
お前の臭いを嗅がされる身にもなれ!

あ?「単身赴任だから」?それが何だ!
じゃああれか?単身赴任してる人はみんな臭いか?違うだろ?
奥さんが毎日してくれてたことを自分でやるんだよ!

「缶ビール飲んでソファーで寝ちゃって目が覚めたら朝で、歯だけ磨いて急いで会社に来たよー。ギリギリセーフ」
じゃねえよ!
アウトだよ!
思いっきりアウトだよ!

とにかく毎日風呂に入れ!
そしてしっかり洗え!
最低限の身だしなみも整えられないヤツは会社に来るな!



…………と説教したいくらい内心ブチ切れてました。(長い)



ただ、ここからが本題なのですが。
このブチ切れの裏には、「私はガンで、抗がん剤治療をしながら頑張って会社に来ているのに、あなたは、身だしなみはおろか風呂に入ることすら怠けて、私に苦痛を与えている」という、横柄かつ悲劇のヒロイン的な考えがあることを、当時から自覚していました。
それに加えて、「私はたいした休業補償もない非正規雇用で、働かないと収入がないから必死で会社に来て仕事をしてるのに、正社員のあなたは、身だしなみも整えず不潔臭をプンプンさせながら会社にきて、おそらく私より多い給料を貰いながら、私が稼ぐことを妨害している」という、雇用形態の違いから生じた被害者意識もありました。

この、「私はこんなに頑張っているのにどうして!」という感情、病気になる前はほとんど抱いたことがありませんでした。
子どものころから、他人はもちろん家族にすら気を遣われたり心配されることを極力避けていたので、気を遣われたり干渉されるくらいなら無関心でいられるほうが断然ラクだったはず。
雇用形態の違いも、長年、自ら選んで非正規雇用でいるし、そもそも従業員の大半を非正規雇用が占めている会社なので、敢えてしがらみの多い正社員になりたいと思ったことは一度もないのです。

だから、45歳にもなって、親しくもないただの同僚に対して、「私はガンなのにこんなに頑張ってるんだからこれ以上苦しめないで」や「社員のくせに!」という厄介な感情が生まれたことに、相当戸惑いました。
自分がそんな幼稚なことを考えるなんて意外でした。想定外すぎました。
だって薬剤師の先生も言ってくれなかったし。(当たり前です!)

ニオイに過敏になったのは抗がん剤の副作用。
一方、「私はガンなのに!」は、更年期か、自律神経の不調からきたのかなと、当時は自己分析していました。
いまになってみると当時の私は、ガンになったことを受けとめきれてなかったのだろうなあと思います。
(ブチ切れて胸の内で悪態をつくのは元々の性格です)



この、「私はガンなのに!」という厄介な感情を持て余したのは数ヶ月で、抗がん剤治療6クールを終えた頃には、「私はガンなのに!」が抜けて「臭すぎて吐きそう」だけになり、やがて、「臭すぎて腹立つ」という、シンプルな感情(?)だけになりました。
ただ、抗がん剤を始める前よりも、明らかにそれ系の臭いに過敏になったので、いまでも会社では、毎日誰かの胸ぐらを掴んで1km先まで投げ飛ばしたい欲求と闘ってます。



「クサイ問題」は他にも弊害があって。
臭いのを我慢して無意識に息を詰めていると、酸素不足になるからなのか、毎日頭痛がしていたのです。
臭くて吐き気がしてるのに頭痛がプラスされたら、もう、自己防衛するしかありません。
鼻の穴にティッシュを詰めてマスクをする、が一番臭わない方法ですが、当然いろいろと支障があります。
それに、口からあの臭いを吸うのはなんかイヤ。
鼻の穴をふさぐのは泣く泣く諦めて、でも、普通のマスクでは不潔臭には到底太刀打ちできなくて。
試行錯誤した結果、活性炭入りのマスクだと多少緩和されることがわかったので、これがニオイの発生源近くで仕事をする時の必須アイテムとなりました。



▶ 治療中に買ってよかったもの [ その3 ]




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■ 経緯

2012年12月:ひどい腹痛と呼吸困難で総合病院の救急外来へ。入院。左卵巣が破裂していると言われる。転院。余命1ヶ月未満と診断される。破裂した卵巣の摘出手術後、左卵巣がん(類内膜腺がん)3c期と告知される。抗がん剤治療開始。

2013年01月:ヅラをかぶる。
2013年02月:「ヅラが飛びそうな強風のため」という理由で休もうとするも会社のボスに却下される。
2013年05月:抗がん剤治療終了。
2013年07月:子宮、右卵巣、リンパ節などの摘出手術。
2013年08月:再び抗がん剤治療開始。術後腹壁瘢痕ヘルニアの予兆。
2013年10月:抗がん剤治療終了。月1回の通院で経過観察へ。術後腹壁瘢痕ヘルニアと診断される。

2014年02月:術後腹壁瘢痕ヘルニア手術。
2014年04月:CTの結果を経て、すべての治療終了。
2014年10月:抗がん剤治療終了から1年経過し、通院が2ヶ月に1回となる。ヅラを脱ぐ。
2014年11月:健康診断で人生最重量を記録する。